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小林亜維子さん

11月 28th, 2019|Comments are off for this post


英語を使うのが当たり前の環境だった幼少期

濱田:海外と関わるようになったきっかけについて教えて下さい。

小林:私は生後8ヶ月から小学校1年生の最後まで、両親の仕事の都合でアメリカのニュージャージー州に住んでいたことがきっかけです。そういった環境もあって英語に親しみを持っていたのですが、日本の小学校では英語を使う機会がそこまでなかったため、小学校6年生くらいで「英語で牛って何ていうんだっけ」という状況に。

このまま英語を忘れてしまうのはもったいないという思いと、2つ上の姉が通っていた、生徒の3分の2が帰国子女の同志社国際中学校に憧れて受験を経て入学。英語を使うのが当たり前の環境になったため、使っていくうちに英語を思い出しました。高校もそのまま付属校に進学し、2年時に1学期間だけアメリカのマサチューセッツ州に留学。こういった環境のおかげで、高校を卒業する時には日本語ほどではありませんが、英語でコミュニケーションがとれるレベルになっていました。

大学も高校からエスカレーター式で上がり、「手に職をつければ女性でも長く働けそう」と考えて法学部に進学。司法試験のことはなんとなく視野に入れての選択だったのですが、友人が大学1年生の後期から司法試験の予備校に通い始めたのをきっかけに、私も一緒に入学しました。そして大学3、4年で司法試験を受けたのですが、どちらも不合格に。

両親からは「お姉ちゃんも働いているし、もう就職したら」と言われたものの、最後の挑戦だと思って受けた京都大学の法科大学院に合格したので、卒業後はそちらに進学しました。

スタンフォード大学への合格は、人生の中でも特に嬉しかった出来事

濱田:司法試験に合格後、長島・大野・常松法律事務所に入所されていますが、数ある弁護士事務所の中からなぜここを選ばれたのでしょうか。

小林:理由はふたつあります。ひとつ目が、大手弁護士事務所のため海外のお客様が多く、英語を使える案件があったからです。法律事務所は会社を相手にする企業法務系の事務所と、個人を相手にする一般民事系の事務所に分かれています。

大学時代に一般民事を扱う事務所でアルバイトをしていたのでそちらにも興味を持っていたのですが、やはり英語を使いたいと思い、現在の企業法務をメインとする事務所を選びました。ふたつ目が、入所5年目に留学できる制度があることに魅力を感じたからです。私は実際にこの制度を利用して、スタンフォード大学に進学しました。

濱田:会社内で大学への推薦枠などがあったのでしょうか?

小林:そういったものは一切なかったので、自分で行きたい大学を選んで受験しました。慣れ親しんだアメリカに行きたいという思いと、シリコンバレーへの憧れがあり、スタンフォード大学のロースクールを第一希望に。全部で7大学を受験して5大学に合格することができました。

濱田:働きながら受験するのは大変そうです。

小林:私は英語がある程度できたので、かなり有利な状況からのスタートだったと思います。アメリカの大学院受験ではTOEFLやエッセイ、推薦状や大学時代の成績表を提出する場合が多いのですが、TOEFLの点数が重要だと考え、まずは可能な限りのTOEFL試験を受けることにしました。

何度かTOEFL試験を受けても点数が上がらなくなった時期は焦りましたが、英単語を一気に覚えると点数が上がるように。とはいえ、留学塾などに通わず独学で合格するのは難しいだろうと思っていたので、スタンフォード大学への合格は、人生の中でも特に嬉しかった出来事のひとつですね。

女性が社会進出している環境だから、女性弁護士に対する偏見がない

濱田:ロースクール卒業後はどうされたのでしょうか。

小林:留学後は、英語圏の事務所で約1年間の研修制度があったので、アメリカの弁護士事務所を選び、約4ヶ月の研修を受けました。今後英語圏で働くためにも、アメリカの事務所がどのように仕事を進めているのかを見てみたかったんです。その後はインドネシアのジャカルタ事務所で働き始めました。

実はスタンフォード大学への留学直前に、事務所のマネジメントから電話で「卒業後はインドネシア事務所で働かないか」と聞かれたんです。私が入所した時から一緒に働いていた弁護士がタイ案件をよく扱っていたため、私も一緒に担当することが多く、いつかアジアオフィスに勤務する可能性があるかもしれないと思っていました。でも、実際に提案されたのはタイではなくインドネシア。

タイは事務所があるため、他の弁護士や秘書もいて心強い環境ですが、インドネシアには事務所がないので私ひとりだけです。どうするか悩みましたが、同期も後輩も先輩も優秀な人ばかりなので、他の人と違うことをやって強みを作りたいと思い、インドネシアでの駐在を決意しました。

濱田:これまで海外といえばアメリカで過ごされることが多かったと思うのですが、インドネシアで働かれる中で受けたカルチャーショックがあれば教えて下さい。

小林:「時間感覚の違い」には特に驚かされました。「もう少しでできる」と言われた仕事が3日後にやっと完成して提出されるなど、日本であれば当日出てくるような書類でも、数日間かかることが普通です。期限はあってないようなものなので、どうしても必要な書類などは自分で期限を管理してリスクヘッジしています。

また、インドネシアに限らず、東南アジアにある弁護士事務所のスタッフには女性が多いです。仕事と育児の両立も当たり前で、ライフワークバランスは日本よりも充実している印象ですね。女性が社会進出しているせいか、女性弁護士に対する偏見も感じません。実は、日本で働いていた際は、私が会議に出席すると弁護士ではなく秘書だと思われたのか、名刺交換をしてもらえなかった経験が何度かありました。

3カ国で働いてみて思うのは、どんな環境でも良い面と悪い面があるということ。しばらくはインドネシアで働く予定なので、この場所だからこそできる経験を、思い切りしたいと思います。