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高橋明子さん

濱田 真里
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小さい頃にTVでカンボジアの映像を見て、いつかカンボジアに行きたいと思うようになる。早稲田大学文学部を卒業し、日本の旅行会社に2年間勤務。その後、カンボジアに渡り現地の旅行会社で3年間働く。現在はカンボジアのシェムリアップで、作る人の“顔が見える、ぬくもり感じる”カンボジア雑貨の店「Khmer Yeung」を経営する。

「カンボジア産のお土産を売る店がなかったから、自分で作ろうと思った」

        
濱田:高橋さんは大学卒業後、すぐにカンボジアに来られたのですか?

高橋:いえ、こちらに来る前は日本の旅行会社で働いていたんです。2年間だけ新卒として働きました。でも、旅行会社って本当に忙しいんですね。体力も気力も続かなくなって、そのうち心身ともに限界を迎えてしまったんです。家に帰って、みんな寝静まっている中で1人ご飯を食べて、朝も早く起きて会社へ行って、という毎日の繰り返しで。気づいたら私、文句ばっかり言うようになっちゃったんですね。そしたら母に「そんなに文句言うんだったら辞めたら?」って言われて。その一言がきっかけで辞めました。
それまでは日本の旅行会社だから、日本から現地にお客さんを送るという仕事がメインだったので、今度は現地でお客さんを受け入れる仕事をしたいと思ったんです。いつかはカンボジアに行きたいなと思っていたので、迷わず現地の旅行会社で働き始めました。

濱田:そうやってカンボジアに来られて、どういう経緯で自分のお店を立ち上げることになったんでしょうか?

高橋:旅行会社ではガイドもしていたんですが、お客さんを市場に連れて行った時に、「あれ、これってタイ製じゃない?こっちはベトナム製だ!」と思うことがよくあったんです。その一方、身近にはお金がなくて困っているカンボジア人がいっぱいいて。このままだとカンボジアにお金が落ちないから、何かしたいと考えたんですね。それで、現地の物を集めて売れば、お金がカンボジアに還元されるかもしれないと思って、今のお店を作りました。
                   
濱田:本当に素敵なお店ですよね。カンボジアでこうやって、1つ1つ商品にメッセージをつけている店ってほとんどないんじゃないですか?

高橋:誰が作っているかが分かるって、日本では当たり前じゃないですか。山田さんの作った卵とか、佐藤さんの育てた野菜とか。でもこっちって、そういうのがないんですよね。作っている人たちは、自分の顔が商品と一緒に貼ってあることに喜んでくれるんです。だからこういう仕組みは買う人だけじゃなく、作る人にとっても良いですよね。
濱田:ここにある商品はどうやって集められているんですか?

高橋:日本みたいにインターネットで調べたら情報があるわけでもないし、ガイドブックに載っているわけでもないんです。だから「あそこで物を作っている」っていう噂があったら、自分で直接行って商品を置いてもらえるように交渉します。バイクでたくさんの村をまわって商品を見つけにいく事もありますね。

濱田:お一人でそこまでされているなんてすごいですね。今後はお店を大きくしていくんですか?

高橋:私は別にお店がやりたいわけじゃないんです。お店はカンボジアの良さを伝えるための手段の1つにすぎないので、この後どうしようかな、と考え中です。 

濱田:現地の良さを伝えるという目的があって、このお店をされているんですね。

高橋:現地の旅行会社で働いている時にすごく思ったんですよ。自分はここに来て、現地の人たち以上の給料をもらえる。だったらその分、現地に還元する働きをしなくてはいけないし、ただここにいたいというだけでいるのは納得がいかなくて。だから、ここでやりたいことがないんだったら帰ろうと思い、実は前の会社を辞めた時に一旦日本に帰ったんですよ。だけどその時、周りの皆にカンボジアってどういう国なの?と聞かれて、全然答えられなくて。現地の旅行会社で経験を積んだから、日本の旅行会社で働くことも出来たと思うけど、その時「カンボジアが好きだ」って言いながら、実は何も知らない自分にびっくりしたんです。それで、戻ろうと思いました。だからカンボジアの良さをこうやって伝え続けたいと思いますね。

「外国人として他の国で働かせてもらうから、意味のある働きをしたい」

         
濱田:実は私もカンボジアで働きたいと思っていたんですけど、やりたい事も特にないし、現地で自分が日本人として出来る事も今のままだと少ないかな、という思いがあって日本で働くことにしました。

高橋:日本で新卒で働くのも良いと思いますよ。あの時日本で働いたのは、私にとってすごく貴重な経験になりました。新卒のタイミングって一生に一度しかないじゃないですか。その時ってなんでも聞けるし、色んなことも教えてもらえるし。私すごく生意気で、鼻っ柱が強いスタッフだったと思うんですけど、それをバシバシ折られてすごく泣いて…。でもそれが良かったなって思います。本当に勉強になりましたね。だから日本で働いて、自分が何をしたいかを考えて、その答えがカンボジアで何かしたいということだったら、戻って来てもいいと思います。もちろん仕事は見つかるけど、やっぱりここは海外なんですよね。日本人として海外で働くということになる。そこで現地に何かしらの還元をしたいと思うんだったら、ある程度働ける状態にした方が良いですよね。もし自分がこれをやりたい!っていうことがあるんだったら飛び込むのもありですけど、もしまだ見つかっていないんだったら、色んな可能性を見つけるために今自分がいる場所で頑張るのも良いと思います。

濱田:ちなみに高橋さんは、ここで日本人として働くということは、どういうことだと思われますか?

高橋:自分が来たことで現地に何か新しい仕事を生み出したり、現地にプラスとなるような働きをしたりすることじゃないでしょうか。やっぱり外国人として他の国で働かせてもらっているから、意味のある働きをしたいと思っています。

濱田:最後に、高橋さんがこのお店を手段にして伝えたいことを教えて下さい。

高橋:私はカンボジアが好きだから、お客さんにも好きになってもらいたいし、ここの良さを知ってもらいたいんです。だからここでカンボジアの物を買ってもらって、使ってみたら良かったって思ってもらえれば嬉しいです。それがどんどん現地に還元されて欲しいなって思います。カンボジアに一度来たら、日本に帰ってからもきっとカンボジアのことを思い出すし、知ると嫌いになれないと思いますよ!ぜひ一度来てみて下さいね。


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