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山下彩香さん

濱田 真里
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EDAYAディレクタ―&デザイナー。1985年生まれ。東京大学を卒業後、訪れたフィリピンでの出会いが転機となり、2012年、北ルソン山岳先住民族の無形文化に着想を得たジュエリーや楽器を扱うブランドEDAYAを立ち上げ、起業。現地における無形文化の調査や教育活動も同時に展開中。東京大学大学院医学系研究科卒。

「皆で体験して、皆で感動したい」

濱田:アートを通して無形文化遺産を守る活動を、現在はフィリピンと日本を拠点に行われているということですが、そもそもどうしてフィリピンを選ばれたんですか?

山下:海外でチャレンジする人を応援するNPOの活動に参加したことがきっかけです。一人一人テーマを決めて旅をするというプログラムだったんですけれど、私は「マイノリティと芸術」に携わるというテーマにしました。その頃ちょうど、フィリピンの山奥で先住民への環境教育を演劇を通して行う取り組みをされている日本人の方がいると聞いたので、フィリピンに行くことに決めました 。だから場所にはあまりこだわっていませんでしたね。今はフィリピンで活動をしていますが、あくまでもファーストステップだと思っているので、別の国でやる場合もあると思います。

濱田:なるほど。ちなみに無形文化遺産を選ばれたのはなぜですか?

山下:次世代に残していきたいとか、真面目な理由もあるけれど、個人的にそういうものがすごく好きだったからですね。私、昔から人生とか歴史とか、人が作り上げてきたものが好きなんですよ。 そうやって人が一生懸命築いてきたものが積み重なって文化になっていったものには、人を感動させる力があると思っていて。無形文化遺産を通じて私が感じている感動を、もっと沢山の人に伝えたい。そういう思いが今の活動の一つの軸になっていますね。

濱田:そうやって感動を伝えていくお仕事って素敵ですね。

山下:元々、私自身が何にでも感動してしまう感動屋なんです(笑)。だから芸術でも歌でも、何かを表現して誰かを感動させられる人に、ものすごく憧れがあって。いつかは自分が人を感動させる側になりたい、とずっと思っていたんです。そしてたくさんの人を巻き込みたい、って。もちろん一人で作り上げるというのもいいけど、私は皆で一つのものを作り上げるのが好き。皆で体験して、皆で感動したい。その方が、何倍も感動できるから。それが私の幸せなんですよね。

「運命的なものに出会っているように見える人は、たまたまの出会いを運命に変える力を持っていた人なのかもしれない」

濱田:自分の好きなことをお仕事にされている山下さんですが、昔から海外で活動したいと思われていたんですか?

山下:それが違うんですよ。小さい頃は美容師とか歌手とか、とにかく夢が沢山あったんです。学生時代も国際協力に興味を持ちつつも、選択肢がありすぎて迷ってしまって。結局最終的に専攻したのは農学。はっきり、これ、という理由がなくて選んでしまったなぁという感じ (笑)。様々なことに挑戦してきたと言えば聞こえはいいけど、本当は何をすれば良いか分からないからいろいろやってきたという感じ。

濱田:そうだったんですね。てっきり「この道だ!」と決めた道をずっと歩まれてきたのかと思っていました。

山下:傍から見るとそう見えるかもしれないけど、全然そんなことなかったんですよ。世の中には、自分が本当にやりたいことや一生懸命になれるものを見つけて、人生を掛けてそれを究めている人たちがいますよね。私はずっとそういう生き方に憧れていたから、自分が本当にやりたいと思えるものをずっと探していたんです。でも、どうしても分からなくて。一生懸命やっているのに、何で私には人生の転機と言えるような出会いがないんだろう、ってずっと悩んでいたんですよ(笑)。

濱田:確かに、今までインタビューしてきた女性に転機を聞くと、ビビッと来て…と言うような運命的、直感的な出会いを経験されている方が多いですね。

山下:そうそう!私もそういうのを求めていたんです(笑)。でも、それがそもそもの間違いだったんだと思います。まだ何もやってないのに、出会ってすぐにそれが運命かなんてわからないですよね。だから、その出会いをものにして転機となるものに変えることが出来た人達が、後から振り返って「あれは運命でした」って言うんじゃないかなって。運命的なものに出会っているように見える人は、たまたまの出会いを運命に変える力を持っていた人なのかもしれないですね。そのためには、「これかも?」と思ったものに足を踏み入れる勇気が必要なんだと思います。そして足を踏み入れたら、「これをやるんだ!」と腹を括ること。やるしかないと思っているから、私はこの活動をはじめてから一つ一つの行動にすごく責任を感じるようになりました。

「『やらないで後悔したくない』ではなく、『やった先にあるものを見てみたい』」

濱田:今年大学院を卒業したら、就職せずにフィリピンでの活動を進められるということですが、不安はなかったんですか? 

山下:不安はかなりあります。大学院まで卒業して、それなりに将来の選択肢がある中で、それを蹴ってやるわけですからね。妹が月給20万円もらっているのに、もしかしたら自分は0円かもしれない…と想像するとめちゃめちゃ怖いですよ(笑)。

濱田:その不安を乗り越えてでもやろうという原動力は何ですか?

山下:やっぱり挑戦したいんだと思います。「やらないで後悔したくない」というよりも、「やった先にあるものを見てみたい」というポジティブな理由ですよね。大学院まで出て、就職しないで自分のやりたいことをやる、というのはいわゆるレールから外れた生き方かもしれないけど、自分に正直になって生きるというのが私にとっては幸せなんじゃないかな。

濱田:山下さんは今後、どういう生き方をしていきたいとお考えですか?

山下:これまでは、自分がこれだ!と思えるものとの出会いを求めて奔走してきたけれど、これからは自分が進むと決めた道を挑戦しつつも着実に一歩一歩進んでいきたい。自分で決めた道だから責任があるし、ここでどこまで行けるか試してみたいんです。あとは、周りの人たちとの関係を大切にしていくことかな。支えてくれる人たちとの関係をおざなりにしないで、もっと沢山の人を巻き込んで、活動を大きくしていきたいですね。そして今取り組んでいる活動を通じて多くの人に幸せを届けて、自分自身も幸せに生きていきたいと思います。


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4 Comments

  1. アバター
    msrmz 2012年3月23日

    ちゃんと成長してくれてホッとしています。体調管理にだけは注意しながら挑戦を続けてください。(農学部時代の指導教員より)

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    1. アバター
      Yamashita Ayaka 2012年3月31日

      先生、コメントどうもありがとうございます。人間的にはまだまだ発展途上ですが、哲さんにタイでしごかれた?時よりは、現地で生活するという点については成長しているかなと思います。でもなにより、溝ラボの出身者として恥ずかしくないように、精いっぱいこれからも頑張っていきたいと思っています。今後とも応援どうぞよろしくお願いいたします。 山下彩香

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  2. アバター
    Yamadarisaco 2012年3月23日

    心の底から彩香ちゃんの活動の成功を願ってるし、確信しているし!!!!!! 人と違うことにトライできて楽しめる強さ、SUPERかっこいいし、良く考えれば彩香ちゃんらしくて当然。 これからも素晴らしい体験を多くの人とシェアして頑張ってね。素敵。 トナリの山田:))

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    1. アバター
      Yamashita Ayaka 2012年3月31日

      Risacoちゃん、本当にありがとう!すごく感動した!!小さいころから、私にとっては、りさこちゃんこそ、明るくって、みんなに好かれていて、ほんとにSUPERかっこいい存在だったから、そんなりさこちゃんにこんなメッセージをもらえるなんて、ほんとに嬉しい!ありがとうね!みんなにこうして応援してもらえることに感謝して、これからもがんばります♪ 彩香より

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