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小林恵理さん

濱田 真里
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JICA職員。学生時代にインドのNGOのインターンシップに参加したのをきっかけに、国際協力に携わる。大学卒業後はJICAに入構し、開発途上国のインフラ整備のプロジェクトに携わる。現在はJICAカンボジア事務所駐在員。

「命を助けてくれたこの国の人たちに何か恩返しがしたい」

濱田:小林さんが国際協力に携わるようになったきっかけを教えてください。

小林:学生時代に参加したインドのNGOでのインターンシップです。当時は国際協力に特別な興味があったわけじゃないんだけど、友人に誘われて選考を受けたら受かってしまって(笑)。半年のインターンでしたが、それが国際協力に携わったきっかけです。

濱田:実際にインドで生活してみてどうでしたか?

小林:すごく大変で、辛かったです(笑)。私が派遣されたのは、日本人が来ることすら初めてのような田舎の村だったんですね。だから、私以外の外国人なんてもちろんいないし、言葉も良く分からない状態で、孤独な日々を過ごしていました。

濱田:でもその時の経験が今のキャリアを志すきっかけになっていらっしゃるんですよね?

小林:そうですね。私、インドにいた時に死にかけたことがあるんです。インターン先でちょっとお休みをもらってデリーまで行った時なんですけど、お金がなくて3等列車で行ったんですね。席も食べ物もひどくて、その電車の中で赤痢アメーバに掛かってしまったんです。次の駅まで何十時間という状況の中で、腸は荒れて血が出るし、高熱は出るし。そしたら周りのインド人がすごく心配して、みかんをくれたり、枕を貸してくれたり、布団を掛けてくれたりして、すごく良くしてもらって。偶然同じ列車の中に薬を持った医者がいて助かったんですが、その医者には「あとちょっと遅れていたら死んでいた」と言われました。その時に「なくなっていたかもしれない命を助けてくれたこの人たちに、何か恩返しできる仕事がしたい」と思って、国際協力の仕事を目指すようになったんです。インドでの生活は本当に大変で辛いことも多かったけど、あの時の経験がなかったら、今の自分はなかったと思います。

「日本に生まれたのに、外に出ないのはもったいない」

濱田:小林さんのように学生時代から自分のやりたいことを明確に持って、それを仕事に出来るというのは羨ましいです。

小林:人には適性というものがあると思います。自分に出来ることとか、苦手なこととか、自分の適性を分かっていれば仕事って選びやすいですよね。私はインドで一人で苦労した経験から、孤独に黙々と仕事をするよりも、チームで力を合わせて作り上げる仕事の方が向いていると思ったんです。JICA職員の仕事は政府や地域住民、NGOや専門家の意見を調整してプロジェクトを引っ張る仕事。まさにチームの仕事なので、私にはすごく向いている仕事だと思っています。

濱田:「自分の適性に気付く」というのは大事なことですね。でも、小林さんのように自分の適性に気付けている人は少ないと思います。

小林:私が自分の適性に気付くことができたのは、やっぱり色々な経験をしてきたからですね。インドの経験以外にも、学生時代から国内外色々なところに行ってみたり、色々なバイトをしてみたり。ただ勉強して、毎日を過ごしていただけでは得られないことが沢山あると思うんですね。

濱田:私も旅に出る前はすごく内向きなタイプだったのですが、旅に出て色々な経験をする中で世界が変わりました。

小林:私、いつも思うことなんだけど、日本に生まれたのに外に出ないのはもったいないと思うんです。だって世界には外に出たくてもお金がなくて出れない人が沢山いるんですよ。日本だったらアルバイトでもすれば簡単に行けちゃうじゃないですか。外に出ることでこんなにも世界の見方が変わるのに。それに日本人であることを誇りに思うのは、外に出てからではないでしょうか。私は日本人が一番だと思うし、日本に生まれて良かったと思っています。そう思えるのは、やっぱり海外に出たからでしょうね。

「年を取れば取るほど、人生は楽しくなっていく」

小林:年を取れば取るほど、人生は楽しくなると思うんです。これまでを振り返ってみても、高校生の時よりも大学生、大学生の時よりも社会人になってからの方が人生楽しい。自分が経験したり勉強したことが自信になって、自分の世界や責任の持てる幅が広がるからでしょうね。だから自分が30代、40代になった時に、「世界とどういう関わり方をしているのかな」とか「子どもが出来て新しい視点を持てているかもしれないな」とか想像すると、すごくワクワクするんです。

濱田:「年を取れば取るほど楽しい」ってすごく素敵ですね!最後に日本の若者に向けてメッセージをお願いします。

小林:若いうちは好き嫌いしないで、何でも経験することが大事だと思います。自分に出来るのか不安に思うこともあるかもしれないけど、学生のうちは失敗したって許されますから(笑)。私も学生時代は失敗ばかりしていて、「やらなきゃ良かった」と思うことも沢山ありましたけど、きっと長い目で見たらそういうことも全部含めて「やって良かった」と思えるんですね。今、自分が天職だと思える仕事に就くことが出来ているのも、そうやって色んな経験があったからこそだと思います。経験したことは全て自分の力になるので、みなさんも全部受け入れて成長して、素敵な社会人になって下さい。


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