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丸茂茉莉衣さん

濱田 真里
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山梨県生まれ。横浜国立大学教育人間科学部卒業後、東京都で小学校教員として1、2年生を担当する。その後NPO法人オンザロードでインド・バラナシマザーベイビースクール駐在員に。現在は都内に在住、銀行勤務をしながら、現地の人も日本にいる人も笑顔にできる国際協力を計画中。

「インドに行くまでは、周りの言うことを守って生きてきた」

濱田:そもそも丸茂さんがインドに行こうと思ったきっかけは何ですか?

丸茂:きっかけは高橋歩さんのトークイベントでした。もともと歩さんの本が好きで、イベントに参加した時に歩さんがインドで学校を作ったという話を聞いたんです。それでビビッ!と来て、家に帰ってインターネットでその学校について調べていたら、ちょうど現地で働く日本人スタッフを募集していて。それで、行っちゃおうかなと思って。一晩すごく悩んだけど、翌日には「やりたいです!」ってインドに問い合わせていました(笑)。

濱田:即決ですね!でも当時は小学校の先生をされていたんですよね?仕事を辞めることに迷いはなかったんですか?

丸茂:それはもちろんあったけどそれ以上に、行きたい!行かなきゃ!という気持ちが強かったんです。何というか、当時は「このままでいいのかな?」と悶々としていた気がします。子どもたちは可愛かったし、仕事もやり甲斐があったけど、5年後、10年後も今とそう変わらない自分の姿が想像出来るようになってしまって。そういうタイミングだったからこそ、歩さんの話を聞いて、今やらなきゃ!という気持ちになったんだと思います。

濱田:なるほど。でも、周りの方たちは反対しませんでしたか?

丸茂:もちろんされました(笑)。両親にも校長先生にも副校長先生にも。理由は、安定した仕事である教育公務員を辞めることと、インドの片田舎へ行くことだったかな。でも、周りの人たちにその話をしたのは全部決まった後。反対されるのは目に見えていたし、そうなったら私の気持ちが萎えて行けなくなると思ったから。だから、決めてから報告・相談をしました。(笑)

濱田:なるほど!それにしても、安定した仕事を辞めてインドに行くというのは大きな決断ですね。

丸茂:これまで生きてきた27年間で一番大きなターニングポイントだったと思います。というのも、私はそれまでどちらかと言うと周りの言うことを守って生きてきたタイプだったんです。周りを悲しませたくなかったし、そうまでしてやりたいことなんてなかったから。でもそういう生き方をしてきたからこそ、周りの反対を押し切ってまでやりたいと思うことに出会えたことや、それを実現することが出来たことは私にとってすごいことで。だからインドに行った経験は、現地の子どもたちに何かをしてあげたというよりは、自分にとって本当に素晴らしいきっかけになりました。色んな意味で強くなれた気がします。

「日本のスタンダードが世界のスタンダードじゃないということに気付けたのは大きい」

濱田:丸茂さんがインドでの生活を通して得たものを教えてください。

丸茂:それはどこでも生きていける自信(笑)。何があっても大抵のことには動じなくなったし、ちょっとくらい冒険したって全然大丈夫だと思えますね。むしろ、こんなに恵まれていて世界中どこにでも自由に行ける私たちだからこそ、ちょっとくらい危険を冒してでも、新しいものに触れ、行動しなくちゃ!と思うようになりました。

濱田:そう思えるようになったのはどうしてでしょうか?

丸茂:一つは向こうで出会ったインド人。みんなたくましくて、彼らを見ていると負けていられない!と思うんです(笑)。あとはインドで出会った日本人の存在ですね。自転車でインドを横断したり、世界一周をしていたり。そうやって一歩踏み出している人たちって本当に人生楽しそうで、みんなキラキラしているんですよね。日本では会社を辞めるというだけで騒がれるけど、そういう人たちを見ていると、なんだ全然大丈夫じゃん!って思えました。何をそんなにビビっていたの?と昔の自分に言いたいくらい(笑)。

濱田:すごく共感します!日本を出ると普段気付けないことに気付けますよね。

丸茂:日本にいると日本の常識やルールに浸ってしまいがちだけど、そうじゃない。日本のスタンダードが世界のスタンダードじゃないということに気付けたのは大きいと思います。

濱田:でも、そういうことって日本での忙しい生活に戻ると忘れてしまったりしませんか?

丸茂:確かに日本の忙しい生活に戻ると、いつの間にかまた型にはまった考え方しか出来なくなって、行動するのが怖くなっちゃうんですよね。そういう意味では、定期的に海外に出たり、海外経験があって同じような価値観を共有している友達と話したりして、日本に浸り過ぎないようにするための努力は大事だと思います。今は、ベトナム、カンボジア、タイ辺りを周り、現地の人や日本の友達も笑顔にできるような小さなプロジェクトを計画中です。

濱田:なるほど。意識的に努力をすることは大切かもしれませんね。

丸茂:でも、一番大切なのはバランスだと思います。もちろん染まり過ぎて自分を見失うのも良くないけど、周りの意見を聞かないGoing My Wayも駄目。周りで支えてくれる人たちを大切にしつつ、自分の軸も大切にする、というバランスが大切ですよね。

「誠意を持ってやっていれば、いつか自然に”すとん”と納得出来る道が見える」

濱田:丸茂さんは、これからこういう生き方をしていきたい!という目標はありますか?

丸茂:様々な制約がある現実の世界で、家族も恋愛も仕事も趣味もいかに大切にして楽しめるか…よく考えたら、これってすごく大切なことだけど、意外と難しいですよね。だから「今を楽しむ」じゃないけれど、その時に与えられた状況の中で日々の生活を楽しみたいですね。インドでの生活も、今の六本木での生活も全然違うけれど、どちらも大好きです。もうお年頃ですので(笑)、数年の内に結婚も考えています。結婚後は家庭に自分の時間を専念させたいと思っているから、今よりももっと身近な人たちがハッピーでいられるような空間を作っていきたい。

濱田:身近な人たちを幸せに…それって実はすごく大切なことですよね。

丸茂:でも、私がそう思えるようになったのもインドに行ったからだと思います。昔は結婚して縛られるのなんて嫌だし、ゆくゆくは外国に移住して…とか考えていましたから(笑)。でも、日本を一度離れたことで、周りで支えてくれている人たちの大切さを実感出来たんですよね。家庭に入るという道もインドに行っていなかったら難しかったかも。インドである意味やりきった感が得られたからこそ、納得して家庭に入れるというか。あのまま教員をしていたら今も悶々としたままで、結婚なんて出来なかったと思います。

濱田:丸茂さんのお話を伺って、人は色々なことを経験して変化しながら成長していくものなんだな、と実感しました。

丸茂:特に20代の女子はすごく変わっていくものだと思います。私も充実している時もあれば、つらいと思う時もあって、本当に色々でした。でもだからこそ、自分はこうなりたい!と決め付けないで色んな環境に自分を置いて、その変化を楽しめたら良いですよね。それに「こうなりたい!」という理想は、色々経験していくうちに自然と出てくるものだと思います。だから焦る必要はないし、誠意を持ってやるべきことをやっていれば、自然に“すとん”と納得出来る道が見えてくるんじゃないかな。

濱田:自然にすとんと来る、ですか…その時のためにも、今自分に出来ることをきちんとやっていきたいですね。

丸茂:そうですね。そのためには閉じこもっているのではなくて、フットワークを軽くすることが大事だと思います。動くことで色んな発見や出会いがあるし、たとえそれが求めていたものじゃなくても、それがきっかけとなって新しい自分に会えるかもしれない。実際私も高橋歩さんのイベントに行ったことで人生が変わったわけだし。一寸先には何があるか分からない。だからこそ、動き続けることが大切ですよね。


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