LOADING

Type to search

和田真由美さん

濱田 真里
Share

「ないもの」ではなく、自分が「持っているもの」にフォーカスする

濱田:現在シンガポールで働かれていますが、海外に対する興味は昔からあったのでしょうか?

和田:高校生の時に2週間ほどアメリカでホームステイをしたり、その後も友達と海外旅行に行ったり、昔から海外が好きでした。いつか海外に住みたいと思っていましたが、周りにロールモデルもおらず英語に自信もなかったので、ぼんやりとした夢のような状態でした。夢の実現に向けて動き出したキッカケは、30歳の誕生日。節目の年だと思って、自分が本当にやりたいことを真剣に考えたんです。残りの人生で今と同じぐらいアクティブに動けるのは何歳までかを考えた時に、多分あと30年くらいだろうと。そうなると、残りあと半分しか時間がないので非常に 焦りました。そして、自分が今一番やりたいことを何度も自問自答して、出た答えが「海外で働く」ことでした。今を逃したら、これを実行に移す勇気がなくなってしまうのではないか、やらなかったらずっと後悔するのではないか、そう思って実行に移すことにしました。

ただ、英語ができなかったので最初はフィリピン留学を考えていたんです。しかし、知人の勤める会社のシンガポール支店に空きがあるという話をもらい、留学はやめて就職活動をすることにしました。初めての海外就職活動は分からない事だらけで、友人が紹介してくれる大企業での面接のために英語の履歴書を書くのにも一苦労。このままでは紹介してくれる知人に迷惑をかけると思い、面接を辞退しました。この時は、英語力や学歴など自分の「ないもの」にフォーカスしてしまい、とても不安でした。

濱田:特にシンガポールはアジア諸国の中でも就労ビザが取りにくいと聞きます。

和田:そうですね。 私がネットで見た情報だと、私立だと早稲田・慶応以下は見込みが低いと書かれてありましたし、現地の日系人材関係の会社からは、短大卒業は案件がないと言われ、短大卒で英語ができない私にとっては、とてもハードルが高いと感じていました。自分に「ないもの」ばかりで悩む日々。でも、知人の紹介に応えられなかった悔しさと、どうしてもシンガポールに移住したいという思いから、人材会社を頼らずにどうやったら目標を達成できるのかを考え、自分の「持っているもの」にフォーカスし始めると、物事がちゃんと進むようになったのです。

濱田:具体的には、ご自身の持っているものとは何だったのでしょうか?

和田:助けてくれる友達がいることです。彼らのおかげで就職活動を進められました。シンガポールに下見に来た時も友人から現地で働くたくさんの人を紹介してもらい、現地の様々な話を聞くことができました。今の仕事を紹介してくれたのも友人です。英語の履歴書作成の際も、友人が添削をしてくれました。ビザが1度降りなかった時にも、諦めずに行動し続けられたのは周りの人のおかげです。

シンガポールを選んだのは、直感

濱田:なぜシンガポールを選ばれたのでしょうか?

和田:直感で決めました。海外で働く友人が一時帰国した時に、どこの国で働きたいの? と聞かれ、パッと出た答えがシンガポールでした。それまでシンガポールには行ったことがなかったので、なぜあの時シンガポールと答えたのか自分でも分かりません(笑)。その後、下見のためシンガポール、せっかくなので周辺国のマレーシア、カンボジア、ベトナムに旅行に行きましたが、やはりシンガポールが1番私に合っていると感じました。

濱田:日本での就労経験は現在活かされていますか?

和田:業界が同じなので、日本で働いていた時の経験は環境が変わっても役に立っています。例えば、売り方や分析方法、ツールの使い方、マネジメント経験などです。シンガポールと日本の現場で異なることは、MTGが少ないこと、意思決定が早く、決まったらすぐ動くことですね。承認を取ったりすることはほとんどないです。

濱田:語学に関してはいかがでしょうか?

和田:シンガポールの公用語は英語なので、社内のコミュニケーションは英語だという会社が多いと思います。しかし、国民の78%ぐらいが中華系なので街では中国語を聞くことが多いですね。シンガポール人の話す英語は独特のアクセントがあるので、初めはリスニングに苦労するかと思いますが徐々に慣れました。

こちらに来るまでは旅行ができる程度の英会話能力でしたが、今は英会話教室に通い、ランチをシンガポーリアンと一緒に食べたりして、英語を使う時間を増やしています。また、買い物に行くと必ず中国語で話しかけられるので、最近は中国語教室にも通いはじめました。

これから先も、予想できない自分に変わっていくはず

濱田:日本で生きる若者たちへメッセージをください。

和田:よく言われていることですが、人生って有限ですよね。今と同じようにアクティブに動けるのは、恐らくあと30年。時間が限られているので、後悔しないように今やりたいことをやるようにしています。海外就職活動については、年齢も学歴もスキルも足りない所がありましたが、自分が「持ってないないこと」にフォーカスするよりも「自分の持っているものをどう活かすか」を考えて、これだけやってできなかったらしょうがない! と思えるほど行動しました。挫折しそうになっても諦めず、勇気を出して挑戦し続けたら移住できたので、やってみて本当に良かったと思っています。

移住してからも挑戦の毎日で、「あれ? もう少し楽できると思ったのに(笑)」と思うこともありますが、「波に乗っている時は、できるだけ乗り続けるといい」という先輩からのアドバイスを信じて、キツイことがあっても目の前のことに向き合っています。

今の自分の姿は、数年前は全く想像できないものでした。だからこれから先も、予想できない自分に変わっていくのだと思います。まずは、3年後の2020年にどんな国で生きているのか、それが楽しみです。


Previous Article
Next Article