image

伝 理奈さん

9月 13th, 2016|Comments are off for this post


台湾と一緒に生きていきたいから、起業をした

濱田: 台湾に行かれたきっかけを教えて下さい

伝:学生時代から付き合っていた今の夫と結婚し、彼が台湾に駐在員として行くのについていきました。海外で暮らすことが夢だったので、この時は本当に嬉しかった。大学卒業後は22歳から27歳まで秘書をしていて、絵に描いたようなOL生活をおくる日々。それから台湾に渡り、滞在した6年間はずっと専業主婦をしていましたね。そんな自分がまさか起業をするなんて思ってもいませんでした。

海外に興味を持ったきっかけは、大学4年生の時に海外で働く女性を特集しているテレビ番組を毎週見ていたこと。それまでは雑誌ばかり読んで、明日のことなんて何も考えていない女子大生だったのですが、世の中には海外で自分の力で働く女性がいることを知り、目から鱗が落ちました。その番組の雑誌が出た時は、ボロボロになるまで読み込むほど。この時から、自分の中に「海外で暮らす」という選択肢が増えたと思います。本当は留学やワーキングホリデーにも興味があったのですが、親には「どうせ遊んで帰ってくるだろう」と反対されて、行くことができませんでした。だから、夫の駐在によって私の夢を叶えてもらいましたね。

私にとって台湾は「愛すべき存在」。最大の理由は人ですね。台湾人の心の温かさと豊かさに触れ、この国と一緒に生きていきたいと思うようになりました。でも、駐在の任期は決まっているので6年後に日本に帰国。また秘書の仕事を始めたのですが、「台湾と日本のために働きたい」という気持ちが大きくなり、実現できそうな企業を探したものの、なかなか良い条件が見つからなくて。だったら自分で立ち上げようと決意し、今の会社を立ち上げました。本当はフリーランスとして活動するつもりだったのですが、夫の後押しがあって法人化しました。海外は法人格がないと取引をしてくれない企業も多いので、結果的に法人として立ち上げて良かったと思っています。正直、自分に社長という肩書きがつくのは違和感を感じるのですが、今までお会いできなかったような方と起業仲間として出会うチャンスをもらえるので、とても勉強になりますね。

駐在員妻の心の拠り所を作りたい

濱田: 『駐在妻Navi』はどのようなきっかけで立ち上げられたのでしょうか

伝:立ち上げのきっかけは、台湾での生活にマンネリを感じて行き詰まった時に、「他の駐在妻の人たちはどうやって暮らしているのか」を知りたくなったこと。台湾に来た最初の頃は、毎日が新鮮で悩みごともなく色々行動していたのですが、3年ほど経つと、段々やりたいことがなくなってきて。語学も習い事も一通りやったし、最初は楽しかった新規のお店探しをしても空虚感に襲われたり。滞在4年目は、ストレスで体調不良になってしまい、何もできずに過ごすこともありました。夫は仕事でスキルアップができるけど、私にはない。苦しくて夫に当たり散らしてしまうことも。でも、新しい習い事を見つけたり台湾人の友人に日本語レッスンをしたりして乗り越えていきました。ある時、「あれほど海外で暮らしたいと思っていた私ですら行き詰まりを感じるのに、みんなは一体どうやって暮らしているのだろう」と疑問に思ったんです。この時の思いが活動軸となり、『駐在妻Navi』を立ち上げました。

駐在員妻に限らず、専業主婦は社会との繋がりがないので、取り残されたような気持ちになりがちです。だから、社会の中で活躍しているキャリアウーマンに憧れたりします。そのことを働く友人に話すと、仕事をしなくても暮らしていける立場なのに、贅沢な悩みだと言われたことも。でも、夫の会社の規定やビザの関係で、働きたくても働けない場合もあります。だからその中で自分が取り組めること、頑張れることを見つけられるしかないですよね。このサイトを通して駐在員妻たちがお互いの暮らしを知ることで、心の拠り所を作れればいいなと思っています。

私は、女性が元気に楽しく生きていたら、男性もパワーをもらって元気になって、世の中は幸せになると思うんです。多くの駐在員男性人たちは、日本と異なる環境で毎日頑張って働いていて大変ですよね。そんな状況で家に帰って愚痴を言われるより、妻が元気で楽しそうな方が良いじゃないですか。今後、日本企業が海外に行くのは必然なので、それに伴って駐在員、駐在員妻も増えていくはず。私ができることとしては、少しでも駐在員妻の方たちを盛り上げていくこと。それが日本企業を元気にすることに繋がっていけばと考えています。駐在員妻は、決して夫のおまけではありません。女性としてみんながチャンスを持っている。それぞれができることをしていくなかで、外との繋がりを自分の経験から見出すこと。その応援をしたいですね。

目の前にある「時間」を精一杯生きること

濱田: 活動をしている中で大変なこともあると思うのですが、伝さんご自身を支えているものは何でしょうか?

伝:私がやっていけるのは、やはり夫のおかげだと思っています。22歳の時からずっと一緒にいて支えてくれていますね。楽しいことも悔しいことも、全部話すことができる人が側にいてくれて有り難いです。また、今までの自分を振り返ってみると「もっと時間を有意義に使えば良かった」と思うことが多くて。特に、台湾から日本への帰国が決まった時は、「何もせずに過ごしていた時間を取り戻したい」と後悔しましたね。台湾にいた当時はいくらでも時間があるように感じていたのですが、過ぎてみるとそれがいかに貴重なものだったかを実感。そんな気持ちが、私の今の活動を後押ししているのかもしれません。

最近の大学生の方たちは積極的に色々活動していて、私の学生時代と大違い。みなさんすごいなと感心することばかりです。彼らを見ていて強く思うのが、「若さは武器」だということ。体力もあるし、いくら失敗したって取り返しがつきます。世間ではよく言われている言葉ですが、自分自身が歳を重ねてみて強烈にその意味を噛み締めました。若いうちは自分がしたいことがなかなかわからないと思います。でも、はっきりした夢や目標がなくたっていいのではないでしょうか。とにかく、今自分の目の前にある「時間」というものを、大事に扱って欲しいと思いますね。

※『駐在妻Navi』は 2014年にクローズしています。現在伝さんは、オリジナルのドッグウェアの製造販売を中心に海外展開へ取り組んでいます。