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功能聡子さん

3月 21st, 2012|件のコメント


国際基督教大学(ICU)卒業後、民間企業、アジア学院勤務の後、1995年よりNGO(シェア=国際保健協力市民の会)、JICA、世界銀行の業務を通して、カンボジアの復興・開発支援に携わる。カンボジア人の社会起業家との出会いからソーシャル・ファイナンスに目を開かれ、その必要性と可能性を確信し2009年ARUNを設立。

「どちらかを選ぶことで、どちらかを無理矢理殺すことはない」

濱田:功能さんは草の根レベルから政府レベルまで、様々なセクターで働かれていたと思うのですが、そもそも国際協力に興味を持たれたきっかけとは何だったのでしょうか?

功能:10代の頃に、ネパールの山村で医療活動を行う日本人医師夫妻、エクアドルの高地で宣教師として働く女性、ブラジルで宣教師として活動している方、この3人のお話を聞いて、海外で生きることに憧れを抱くようになりました。

濱田:随分若い頃から海外を意識されていたんですね。

功能:そうですね、途上国で仕事をしたいという気持ちはありました。でも、大学では理学科にいましたし、留学経験もなく、初めての海外は大学4年の時に参加した栃木県にあるアジア学院主催のフィリピンスタディーツアーでした。大学卒業後も一般企業に就職して、生物を専攻していた関係で研究開発の仕事に携わっていたんです。でも、2年程勤めた頃にアジア学院で職員を募集しているというお知らせを頂いて、元々国際協力の仕事がしたかったので会社を辞めてそちらで働くことにしました。

濱田:私も海外で働くことに興味はあるのですが、現地まで行った結果、今ではない気がして一般企業に就職することにしました。

功能:今ではないと思ったら無理する必要はないし、焦る必要もないじゃないですか。自分の心の声をちゃんと聞くことって大事。自分が何を感じているか、どういう状況なのかを冷静に見て、今出来る最善のことをすればいいんじゃないかな。今やらなかったとしても、それがなくなるわけじゃない。どちらかを選ぶことで、どちらかを無理矢理殺すことはないと思うんですよ。割り切れない自分と付き合いつつ、その時が来たら飛び込めばいいと思います。

「社会的なインパクトを持続的に出していくためには、援助じゃなくて投資を」

濱田:念願の国際協力の道に入られ、どんな活動をされていたのですか?

功能:カンボジアの保健医療の改善に取り組みました。村のおばちゃんたちへの講習会から政策策定への助言まで、現地の方や色んな国の専門家の方と関わりあいながら仕事をするのは楽しかったですね。

濱田:そんな功能さんがARUNの構想を考え始めたのはいつ頃からなんですか?

功能:1995年からカンボジアで働いていましたが、2000年を境に現地の人たちの変化を感じるようになり、日本や外国からの支援ではなく、現地の人たち自身の手による成長に興味を持つようになりました。当時はJICAの専門家としてNGOを支援する仕事をしていたのですが、そこで農業・農村開発事業でイノベーションを起こしている現地のNGOに出会ったんですね。ARUNを設立するきっかけになったのは、そのNGOを設立したカンボジア人社会起業家との出会いでした。彼はカンボジアの農産物を市場に出すことで農民の生活改善に取り組んでいたのですが、援助で頂いたお金だけでは継続的に活動していくことが難しい。だから、ビジネスとしてやっていくために投資して下さいと言われました。社会的にインパクトを出してやっていくために援助じゃなくて投資が欲しい、という現地のニーズをそこで発見したんです。事業をしている人たちが素晴らしい人たちだったので、応援できたらカンボジアの社会にとって新しい動きとなるだけでなく、日本人にとっても刺激になるのではないかと思いました。

濱田:自分たち自身の力で成長することが、持続的な発展に繋がると私も思います。

功能:そうですね、現地の人たちのポテンシャルはもちろんあるんですが、そこに外部の人が関わることでさらに可能性が広がると思うんですね。援助ではなく私たちが投資家という形で関わることで、彼らの自主性や主体性を尊重しつつ、事業の成長を助け、より大きなインパクトを出すことが出来ると思います。

「自分が持っている才能を差し出すことで、その場がもっと豊かになる」

濱田:私は、自分に何が出来るかまだ分からないのですが、功能さんのように活動するためにも、自分のプロフェッショナル性を見つけてもっと磨いていきたいです。

功能:そうですね、仕事って色んな人が一緒に作っていくものですよね。色んな人の力を借りながら作っていく中で学んでいく。自分の頭で一生懸命考えて、トライアンドエラーをして。うまくいかないこともあるかもしれないけど、その度に改善していく。そのプロセスが仕事なのかなって私は思っています。そのプロセスの中で自分が培ってきたものがお役に立てればそれで良いのかな、と。役立ててもらうためにも、全力投球できる仕事を見つけたいですね。

濱田:なるほど…。功能さんは今後ARUNをどのような団体にされていこうと思っているのですか?

功能:途上国で頑張っている社会起業家たちと、日本で応援する人たちを結ぶプラットフォームにしていきたいです。人にどんなアドバイスをするかって、本当に人様々じゃないですか。「この程度でいいや」っていう態度で臨むのか、今持っている最善のアドバイスをするのか。ARUNでは途上国だからといってレベルを落とすのではなく、相手と真剣に向き合い、手を抜かないで付き合うようにしています。人間って自分が投げかけたものに対して相手からちゃんとフィードバックが返ってくると、さらに頑張りたくなるものだと思うんですね。カンボジアの社会起業家も、日本にいる投資家も、そうやってお互いに高め合っていけるような場所にしたいですね。

濱田:最後に、功能さんが目指されているものを教えて下さい。

功能:ARUNのビジョンでもあるんですが、「地球上のどこに生まれた人も、一人一人の才能を発揮できる社会」を目指しています。人間は誰も侵すことの出来ない、神様から与えられた素晴らしい才能を持っていて、それは一人一人違う。宝物のような存在なんです。だからこそ、それを持っているだけじゃなくて社会に差し出すことで、その場が豊かになると信じています。皆がそういう風に自分の才能を発揮できるような社会を作っていけたらいいですね。