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松島由佳さん

濱田 真里
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東京大学経済学部卒業。在学中、カンボジアの児童買春問題の解決を目指すNPO法人かものはしプロジェクトのスタッフとして勤務し、現地視察型のプログラム開発などに従事。卒業後はボストン・コンサルティング・グループに勤務し、主に通信業界・消費財業界の企業経営をコンサルタントとして支援。勤務の傍ら、プロボノ活動としてNPO法人TABLE FOR TWO Internationalの新規事業立ち上げにも従事。NPOとビジネスの両方のバックグラウンドを活かし、クロスフィールズに創業メンバーとして参画。

「NPOやNGOで働くことが、かっこいいと思える世の中にしたい」

濱田:現在は独立されている松島さんですが、もともとはコンサルティング会社に勤めていらっしゃったんですよね?

松島:新卒でコンサルティング会社に就職して3年半ほど働きました。でも、その頃からいずれはNPOやNGOに関わる仕事がしたいと思っていたんです。

濱田:そう思うようになったきっかけは何だったんですか?

松島:一番大きいのは父の影響ですね。父は出版社に勤務しているんですが、二束の草鞋でNPOの経営もしているんです。初めて開発途上国に行ったのも、中学2年生の時に父が友人と一緒にカンボジアに作った病院を見に行ったのがきっかけでした。そこで初めて見た途上国の人々の暮らしに衝撃を受けて、自分も何か関わりたいと思ったんです。それもあって、学生時代からNPOで働いていました。

濱田:親の影響って意外と大きいものですよね。

松島:そうですね。父が活動を始めた頃は、NPOやNGOの認知がまだ広まっていなくて、そういう活動をしているということをあまり大きな声で言いにくい時代だったように思います。でも、活動している父はとても楽しそうで。その時に「NPOやNGOで働くことがかっこいいものなんだと知ってもらいたい」と思ったんですね。この思いは今の仕事の原点にもなっています。そういう意味で親の影響は大きい。就職活動の時にだけ考えたことや、本一冊読んで考えたことではなくて、20年以上かけて蓄積されたものですからね。

濱田:ところで、松島さんはご友人と一緒に起業されたんですよね?

松島:そうなんです。その友人とは就職活動の時に出会ったんですが、お互いNPOで活動をしたり、海外で活動をしていたりと学生時代の経験が似ていたからか、問題意識が近くて。卒業後はそれぞれ違うコンサルティング会社で働いていたんですが、一緒にビジネスの構想を練って起業することにしました。会社を辞めるかとても迷いましたけど、最後は自分のわくわくする気持ちに従いました。

「将来の可能性のためにも、今やるべきことをやる」

濱田:学生時代からNPOの活動をされていた松島さんですが、新卒でNPOに就職することは考えなかったんですか?

松島:それも考えました。でも、学生時代にNPOで働いていく中で、多くのNPOはまだまだ組織が小さく、この中で貢献するにはやはりそれなりの知識やスキルが必要だと感じたんです。だから、まずは会社に就職してビジネスのスキルを身につけようと思いました

濱田:コンサルティング会社を志望したのには理由があったんですか?

松島:ビジネスを学ぶには良い環境だし、大変だけどその分学べると思ったんです。あとは、国際協力や、NPO・NGOに興味のある人が多いような印象がありました。そのような環境であれば、自身の想いも絶やさずにいられるかなと思って。

濱田:将来を見越しての選択だったんですね。

松島:実は将来的に仕事と家庭を両立させたいと思っていたのもあります。これから結婚したり子どもを産んだりして、当初想定していた人生を変えるようなタイミングが出てくるんじゃないかなと思ったんですね。そういう環境の中で、出来るだけ自分にとって納得のいく選択が出来るように、「頑張れば出来るんだ」だという証明のようなものが欲しくて。コンサルティング会社で働いたという経歴はそれにあたるんじゃないかと当時思ったんです。

濱田:働いた経験が、実際に今のお仕事に活かされていると感じることはありますか?

松島:それは色々あります。中でも一番役に立っているのは自分で自身の仕事を設計する力。コンサルタントの仕事って、クライアントの方の求めるものによって違うので、常にゼロから作り上げる仕事なんです。クライアントの方に喜んで頂くために、やるべきことを自分で考えて自分でやる。そういう働く姿勢・動き方を学べたのは大きいです。あとは、会社に入ったからこそ、働き方の比較対象を持つことが出来たと思います。はじめから独立していると、他の人がどういう働き方をしているのかが実感値として分かりづらいと思うんですけれど、一度会社で働いたことで、「今の働き方は勤めていた時と比べてどうかな?」と比較出来ているんですよね。そういう客観的な比較対象を持てたという意味でも就職して良かったなと思います。

「色んな人が色んな選択をしていると気づけたから、一歩踏み出せた」

濵田:勤めていた頃と起業されてからを比較すると、どんな違いがありますか?

松島:会社で働いていた頃が整然とした東京を歩く感じだとすると、起業した今はジャングルの中を突き進んでいく感じですね(笑)。会社にいた頃は信号があったし、迷ったら道を教えてくれる人もいたけれど、今はいつライオンに出くわすかも、オアシスに出られるかも分からない。でもだからこそ、笑ったり怒ったり喜んだり、感動の触れ幅が大きいんですよね。どちらが良いかは人によるけど、私はジャングルが好き。その方が人生面白いと思うんです。

濱田:ジャングル…サバイバルですね!松島さんは今後、お仕事を通じてどんなことに挑戦したいですか?

松島:活動のフィールドを更に広げたいですね。もともと海外と繋がる仕事をしてみたいと思っていたんですけれど、日本で生まれ育った自分には夢のまた夢だと思っていたんです。でも、今こうして実際にアジアの人たちと仕事をしていて、日々の出会いや発見が本当に楽しくて。出会う人皆がとてもエネルギッシュですごく刺激を受けています。だから、この仕事を通じて出会う人の数を増やしてその感動をもっと味わいたいですね。

濱田:松島さんなら実現されると思います!ちなみに松島さん個人としては、今後についてどうお考えですか?

松島:まず今は、取り組み始めたこの事業を一生懸命かつ楽しくやりたいです。会社を辞めて起業したことで人生が180度変わって、自分個人としては将来像というものを明確に持つよりは、チャンスには素直に、一歩一歩の選択を前向きにすることをしていきたいと思っています。人生ってサイコロのようで、6が出たら走って、1が出たら待って…という感じで何が起こるか分からない(笑)。でもそれを楽しみながら、しなやかにいたいですね。

濱田:確かに人生何があるかわかりませんね。こうして松島さんのように実際に一歩踏み出されている方のお話を聞くと本当に背中を押されます。

松島:人との出会いって大切。私も実際に会社やNPOを立ち上げられた方たちと出会って、色んな人が様々な選択をしているのだと気づけたからこそ、一歩踏み出せたんだと思います。逆に言えば自分が下した決断も、自分の人生だけじゃなくて、ゆくゆくは他の人とも繋がって誰かの背中を押すことがあるのかもしれないなと。だからこそ、自分の経験は小さなものかもしれませんが、こうやって伝えていくことは大切だと思います。


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1 Comment

  1. アバター
    長濱博之 2013年6月28日

    由佳さんの活動と理念に全面的に賛同します。各人が自らの仕事を通してこの世界を少しづつでも良いものにしていければ、きっと幸せの輪が拡がっていくと思います。
    大変な事も多々あるでしょうが頑張って下さい。応援しています。

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