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坂田優子さん

濱田 真里
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アメリカの大学に留学し、アジア学を専攻する。卒業後、アメリカに住む東南アジア系難民・移民サポートNPOに勤務し、異民族・異世代間の交流プログラムを運営。その後カンボジアに渡り、現在は美術支援を行う「小さな美術スクール」で、アートコーディネーターとして、授業のサポート、制作・広報等を担当する。また、インターネットを通じて世界各国から仕事を請負い、場所に縛られない働き方を実践している。

「ここにいると、心が満たされる」

濱田:坂田さんはしばらくの間アメリカに住んでいたと伺ったのですが、アメリカでは何をされていたのですか?

坂田:フィラデルフィアにある大学を卒業して、その後2年ほど働いていました。実は私、アメリカ留学を3回しているんです。その期間と仕事をした期間を合わせて7年間程いましたね。1回目の留学は短大を1年間休学して行って、2回目は社会人経験をした後。その後また日本で働いてお金を貯めて、3回目でついに大学に入りました。だから自分のお給料はほとんどが学費に…。でもそこで語学力と異文化経験を得られたので本当に良かったです。

濱田:大学卒業後に日本で働こうとは思わなかったんですか?

坂田:大学でアジア学を専攻していたので、日本で就職するよりもアジアのどこかで人権問題や教育支援を扱うようなNGOでの仕事をしたいと思っていました。でも、たまたま大学と同じ町で東南アジア系難民の生活支援をしているNPO団体から、「新しいプログラムを担当してくれませんか」というオファーを頂いたんです。2年間働いたそのNPOでは、主にラオス、カンボジア、ベトナムやミャンマーからの難民をサポートしていたんですが、同じアジアであるのに彼らの国の歴史や文化についての知識もないし行ったことの無い国ばかり。それで実際に自分で行ってみたいと思い、プログラム終了後、アメリカを飛び出して今に至ります。よく皆さんに「何でカンボジアにいるんですか?」と聞かれるんですけど、ここにいて学生たちと交流していると心が満たされるんです。彼らから学ぶこともたくさんあります。 直接、学生たちと触れ合って、彼らの成長を見ていたいんです。

「働くことは、自分の能力を活かして社会に貢献すること」

濱田:カンボジアではどんなお仕事をされているんですか?

坂田:小さな美術スクールでのボランティアと両立できる形で、最初はホテルで接客の仕事をしていました。働くっていうのは、自分の能力を活かして社会貢献することだと思っています。そう考えると、ホテルでの仕事は自分の経験が十分に活かせる場所ではなかった気がします。今は、自分の経歴を海外のフリーランスサイトに登録して、そこからオファーを頂いて仕事をしています。生活する上で収入を得られる仕事は必須なので、インターネットを通じて海外からの収入を得つつ、こちらでボランティアも両立してやっていける今の環境は理想的だと思っています。自分の経験と能力を活かせ、時間も、環境も、あんまり束縛されないですしね。

濱田:それはどういうことですか?

坂田:WEBデザイナーや翻訳など、世界中のフリーランサーが仕事紹介サイトに登録しているんです。仕事を探している人は「こういう仕事を探しています」というコメントを載せて、その仕事に興味のある人はその人に連絡して契約する。自分の経歴を認めてくれた人から雇用されるというニーズのマッチングなので、自分の能力を活かした仕事が出来るんだと思います。 SOHOという仕事のスタイルで、どこで住んでいても仕事が出来るんです。

濱田:つまりカンボジアを拠点にして世界中の人と働かれていると。坂田さんのような働き方もあるんですね。

坂田:そうですね、語学力以外にも何らかの経験が無いと仕事を得るのは少し難しいと思います。やっぱり競争があるわけですから。私の競争相手は各国に住む日本人だったり、デザインの仕事であれば競争相手は全世界の人になるわけですね。その中で能力を買われて、雇用されるというのは認められたということなのでやっぱり嬉しいです。

濱田:たとえばどのようなオファーがあるんですか?

坂田:色々ありますね。ウェブサイトの翻訳や海外から注文を受けた品物の発注ですとか、日本語の授業、ポスター制作や日本のマーケティングリサーチをすることもあります。

濱田:面白いですね!!

坂田:時差や納期によって、勤務時間は深夜になることもありますが、ほとんどがSkypeやメールでコミュニケーションをとれる仕事なので便利です。仕事によっては会社の本社がヨーロッパにあって、スタッフがアジアやアメリカにいたりして、現在のグローバル社会では、国境は関係ないなと思います。

「自分のプライオリティが何かによって、仕事の仕方、生活の場所も自由に選択して良いのでは」

濱田:こちらの美術教室ではどんなことをされているんですか?

坂田:アートコーディネーターとして、美術授業のアシスタント、ウェブサイトでの活動案内、ポストカードなどの販売促進などをしています。それと週4回こちらで日本語を教えています。ここの主催者の笠原先生と知り合ったのはカンボジアに来てからなのですが、笠原先生と出会い、「小さな美術スクール」でご一緒できることを大変嬉しく思っています。今は、この学校で学ぶ学生たちを支援することが自分の生き甲斐であり、生活の一番のプライオリティになっています。こちらでの活動と仕事を通して、自分の経験や能力をもっと高めて行ければと思っています。どこにいても、何をしていても、一生勉強です。

濱田:では最後に日本の若者に向けてメッセージをお願いします。

坂田:インターネットの進化によって、色々な働き方、生き方が出来る時代になったと思います。昔は、「仕事はオフィスで」が仕事の常識でしたが、個人の選択、能力によって、仕事はもっと自由で幅のあるものなのではないでしょうか。自分のプライオリティが何かによって、仕事の仕方、生活の場所も自由に選択して良いのではないかと思います。ぜひ色々なことに挑戦して、自分の能力を活かす働き方をして下さい。


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