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安田菜津紀さん

濱田 真里
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「なでしこVoice」の記念すべき第1弾は、フォトジャーナリストの安田菜津紀さん。高校生のときに訪れたカンボジアでの経験がきっかけで、フォトジャーナリストとして働くようになった彼女は、現在は貧困や難民の問題をテーマに、アジアや中東地域を中心に活動している。
今回はそんな安田さんに、カンボジアや写真との運命的な出会い、そして世界で働くことを目指す女性としては非常に気になる結婚や子育てについてのお話も伺った。

「彼らに出会えば、何かが変わる」

濱田:まず、菜津紀さんがフォトジャーナリストの仕事をするようになった、最初のきっかけを伺いたいです。

安田:この仕事に就いた流れをずっと最初のほうにたどると、高校2年生の時に「国境なき子どもたち」というNGOでカンボジアに行ったのがきっかけでした。でも、その時は国際協力に特に興味があったわけではなくて。私は中学生のときに父と兄を亡くしていて、「家族ってなんだろう」「人との絆って何だろう」と考えていた時期がありました。だから環境は違うけど、同じように家族と離ればなれになったり、働きながら暮らしたりしているカンボジアの子どもたちが、一体どんな人間観や家族観を持っているのかすごく気になったんです。彼らに出会えば何かが変わるんじゃないか。そう思ってカンボジアに行きました。

濱田:そのときのカンボジアへの旅が、菜津紀さんの原体験になったんですね。実際に行ってどうでしたか?

安田:カンボジアでは、人身売買 をされてその後も虐待を受けながら働いてきた子どもたちに出会いました。「子どもたち」といっても、当時の私と同じ15、16歳。彼らは辛い経験をしてきたにも関わらず、いつも自分より家族のことを気遣っていて、人間として生きていく上で彼らから学ぶことはたくさんありました。自分以外に守る人がいることの強さとか、愛されるよりも自分から愛することの豊かさとか。この出会いがきっかけで、自分の生き方や人間観がすごく変わりました。「人に優しさを配ろう」と思うようになって、自然と毎日が豊かになっていったんです。そんな風に私の考え方を変えてくれた彼らに、何か返したいという気持ちが沸いてきまし た。

「頭と身体が“こっちだ!”という方を信じる」

濱田:ちなみに何がきっかけで海外、しかもカンボジアへ行くことになったんですか?

安田:それは高校の先生がたまたまホームルームで子どもの海外派遣プログラムの告知をしていて、カンボジアへの派遣プログラムがあるということを偶然知ったからです。最初は全く興味がなかったんですが、何かピンときて。

濱田:今まで行ったことはなかったんですよね?

安田:はい。直感ですね。「なんかこれ、行かないと人生ダメだと思う」みたいな。

濱田:なんだか菜津紀さんを見ていると「この人、本当に天命を生きているんだな」と感じるがするんですね。菜津紀さんは何か行動を起こすとき、どうやって決断するんですか?

安田:なんだろう。でも直感としか言いようがないかな。頭と身体、全部が「こっちだ!」っていう方を信じるようにしています。人って、思考型と直感型の人がいると思うんですけど、私は後者だと思います。それぞれ長所と短所があるけれど、直感型の人間は、考えを深める前にとりあえず行動してしまう。それに対して思考型は、思想はすごく深められるけど、ああだこうだじっくり考えているうちに一歩踏み出すまでにどうしても時間がかかってしまいますよね。

「フォトジャーナリスト・渋谷敦志さんとの出会い」


濱田:直感で行動した結果、カンボジアに出会った菜津紀さんが、「フォトジャーナリスト」という仕事に行き着いたのはどうしてですか?

安田:カンボジアから帰ってきて、「人間観を変えてくれた彼らに何か返したい」という思いがありました。でも、高校生はお金も技術もない。結局、何も役に立てないという自覚があって。だから私にできることは、まだ知られていないカンボジアを少しでも伝えていくことしかないと思っていました。

濱田:なるほど。それがどうやって写真に繋がっていくんですか?

安田:写真との出会いは高校3年生の時でした。カンボジアから帰国して、何かの写真展に行ったんですよ。紛争地とかの写真が展示してあったんですけど、そこで1枚だけすごく記憶に焼きつ いた写真があって。内戦中のアンゴラで、ガリガリのお母さんのおっぱいに赤ちゃんが吸いついている写真でした。そのお母さんの「この子を守り通す」という ものすごく強い目が、カンボジアで自分の家族を守ろうとしていた子どもたちとすごくリンクしたんです。他の写真は覚えていないんですが、その写真だけは記憶の中に残り続けていました。その後、大学2年生になったとき「国境なきこどもたち」の繋がりでフォトジャーナリストの渋谷敦志さんに出会う機会があったんです。今は違うかもしれないけど「フォトジャーナリスト」というと、当時は大きくてクマみたいなイメージでした。でも渋谷さんは全く違いました。どちらかというと細身で、大学で研究とかしてそうなタイプで。そんな彼がどんな写真を撮っているのか気になってホームページを見てみたら、高校3年生の時に衝撃を受けたあの写真があったんです。「あの写真を撮った人!」と思って、その後すぐ渋谷さんに「明日お茶しましょう」って連絡しました。

濱田:すぐ連絡したんですか?!すごい行動力ですね!

安田:渋谷さんに出会えたことっていうのは、本当にコーリング(天命)だったと思います。それで、写真や!って決意して今に至ります。


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1 Comment

  1. アバター
    Wheelie 2012年2月9日

    素敵なインタビューですね! このやり取りをみて凄くやる気が湧いてきました! 
    世界に行くだけでなく何かを実行する。 その何かを私も見つけます! 

    返信

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