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栗須沙里さん

濱田 真里
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三重県出身。2004年に文化服装学院服装科を卒業し、会社に入社後すぐにベトナム店に派遣される。ベトナム店舗の店長をまかされたり、ベトナムで帽子のファッションショーを開催したりと活躍中。最近では今までにもまして帽子への愛情が強くなり、帽子デザイナーをやりたい思いが明確となる。現在帽子デザイナーとしての活動も始めた。

「ぽろっと落ちてきたチャンスに抱きついちゃった、という感じ(笑)。」

濱田:新卒で海外に駐在するというのは珍しいことですよね?そうなった経緯をぜひ教えてください。

栗須:専門学校を卒業して就職した今の会社が、ベトナムにもショップを持っていたのがきっかけです。一緒に入社した同期4人でこちらに来たんですよ。新卒の社員を4人も海外に派遣するなんて、よくよく考えるとすごいことですよね。逆に小さい会社だったからそういうチャンスに恵まれていたのかも。

濱田:入社していきなり海外駐在というのは勇気がいることですし、悩んだり迷う人も多いと思います。栗須さんがそこで一歩踏み出すことが出来たのはどうしてですか?

栗須:若くて好奇心があったからなのか、不安はまったくありませんでした。今振り返ってみても、どうやって踏み出したのか思い出せないくらい(笑)。でも、だからと言って学生の頃から海外が身近にあったわけではなくて、ベトナムは勿論、アジア圏の国に行ったことすらなかったんですよ。ただ、海外に興味はありました。だから、ぽろっと落ちてきたチャンスに抱きついちゃった、という感じ(笑)。

濱田:海外で働いてみたいという思いはあったということですか?

栗須:そうですね、就職活動中は、海外の求人にも目を通したりしていました。でも英語が出来たわけでも、知り合いや親戚が海外にいたわけでもなかったから、まさか自分がこんなに早く海外に出るなんて思っていなかったです。それに入社後、ベトナム行きを希望したのも、日本で販売の仕事をするより現地でものづくりに携わりたかったから。海外で働きたいというよりは、自分のやりたいことがたまたまベトナムにあったというだけ。

濱田:何がやりたいのかも分からず就職する若者が多い中、海外で働きたいという思いはさることながら、自分のやりたいことを明確に持っていらっしゃったことが素敵だと思います。

栗須:私も20歳の頃は悩みましたよ。自分がどこに進むべきなのか分からなかったし、かといって適当なところに就職するのも嫌で。みんなが就職活動をしている中、途方に暮れていた時期もありました。でも、そういう時はとにかく動くこと、やってみることですよね。私も憧れていた帽子屋に断られたり、上手くいかないこともありましたけど、あの時動いたからこそ今こうしてベトナムで、しかもやりたかった帽子のデザインに携わることが出来ているのだと思います。

「必死で生きてきたから、毎日が新しくて飽きない」

濱田:新卒で海外に駐在するだけでも珍しいですが、6年以上も同じ会社で働かれているというのは今の若い人の中では珍しいことだと思います。

栗須:確かにそうかも。一緒に来た同期4人のうち、今でも残っているのは私だけだし、こちらに来る日本人は大体が1,2年で日本に帰りますからね。でも私、日本に帰りたいと思ったことがないんですよ。毎年同じことの繰り返しだったら、そうは思わないかもしれないけど、ここでは次から次に問題が起こって、常に新しい山を越えていかなきゃいけない。そうやって6年間必死で生きてきたから、毎日が新しくて飽きないんでしょうね。

濱田:問題や壁があるからこそ、新鮮な気持ちで毎日を過ごすことが出来るということですね。

栗須:そうだと思います。6年間、本当に山あり谷ありという感じでしたから(笑)。それでもそう思えるのは、ベトナムが何度失敗しても結局なんとかなる国だからなのかもしれません。そこが日本とは違うところですね。

濱田:6年間色々な経験をされる中で、「自分はここが変わった」と思うことはありますか?

栗須:それは仕事に対する姿勢です。前は「お金をもらって働く社員」というイメージで仕事をしていたけど、今は一個人として「ショウコ」というブランドをもっと世界に広めていきたいと思っています。同じ仕事でも、自分の意思を持って働くことが出来るようになったという感じかな。もともと英語は得意じゃないし、引っ込み思案な方だけど、今はその一心で営業活動にも力を入れて頑張っています。

濱田:素敵ですね!お仕事を楽しんでいらっしゃるのがとても良く伝わってきます。

栗須:最近はやりたかった帽子のデザインをする仕事に携わることが出来ているから、特にそう思うのかもしれない。今はまだ、デザイナーと言っても生地やリボンを選んだりするくらいなんですが、これからは自信をもって「デザイナーです」と言えるように仕事を頑張りたいと思っています。

「目の前のことを一生懸命やっていたら、好きなものが手元に残っていた」

濱田:帽子のデザイナーの仕事は、小さい頃からの夢だったんですか?

栗須:そうですね、物心つく頃から帽子は好きで。就職活動で一番最初に行きたいと思ったのも、帽子を作っている会社でした。でも、だからと言ってずっとデザイナーを目指していたわけではないんですよ。特別、専門学校で帽子のデザインを学んでいたわけではないし、今の会社に入ったのもそれが目的だったわけじゃないので。入社後、たまたま会社が帽子の事業を始めても、私がデザインの仕事をすることになるなんて思ってもいませんでした。それが最近になって携わることになって。運命だと思っています。

濱田:まさに運命ですね!

栗須:でも、それが夢だったことを思い出したのは本当に最近なんですよ(笑)。今は偶然目の前にチャンスが来たからやろうと思っているけど、これまでの6年間、そのために働いてきたわけではなくて。毎日目の前の仕事をこなすことに必死だったから、「夢」という言葉すら忘れていたくらい。だから私の場合、夢を追いかけてきたというよりは、目の前の仕事を一つひとつやっていったら、結果的に自分の一番好きなものが手元に残ったという感じですね。

濱田:栗須さんのお話を伺っていると、夢を持つことは勿論ですが、それ以上に「自分が本当に好きなものは何なのか」を知ることが大切なのだと実感します。

栗須:好きなものを好きでいることはやっぱり大事だと思います。好きなことって、やっていても苦にならないじゃないですか。だから良い仕事が出来るし、その分周りからも評価される。好きこそ物の上手なれ、と言いますもんね。でも、誰しもが好きなことを仕事に出来るわけじゃないから、そういう意味ではラッキーだったのだと思います。

濱田:栗須さんのように、好きなことを仕事にする秘訣は何ですか?

栗須:それはやっぱり、動くことじゃないでしょうか。私も去年までは、自分が帽子のデザインの仕事をすることになるなんて思っていなかったんです。それが、自分の好きな帽子をもっと広めたいという思いで動いた結果、今、こうして夢だった仕事に携わることが出来たというか。何かのきっかけで歯車が回りはじめれば、やるべきことや自分の方向性というのは自ずと見えてくるものなんだと思います。でも、その歯車を回すためには自分が動くしかない。とにかく行動に移して、チャンスがあったら飛びつく。それが大切だと思います。


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