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益子早苗さん

濱田 真里
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慶応義塾大学法学部政治学科卒業後、サイバーエージェントに入社。結婚後に夫が単身赴任でベトナムへ。会社を退社し、第一子を出産。生後6ヶ月でベトナム・ハノイへ行き、初めての海外生活を送る。子どもが1歳の時に夫が会社を辞め、家族で8カ国を2ヶ月半で旅する。2011年5月にべトナムホーチミンで創作ピザ屋「Pizza 4P’s」をオープンし、現在は子育てとピザ屋の店長として奮闘中。

「彼の夢が2人の夢になった」

濱田:旦那さんの駐在がきっかけでベトナムにいらっしゃった益子さんが、ピザ屋をはじめたきっかけは何ですか?

益子:夫が勤めていた会社を辞めて、ベトナムで起業したからです。今は夫が経営しているピザ屋で店長として働いていますが、それまでは専業主婦をしていました。

濱田:専業主婦からピザ屋への転身…。突然起業すると言われた時はびっくりされませんでしたか?

益子:夫が起業したいと思っていたのは分かっていたので、驚きはそんなにありませんでした。彼は元々ベンチャー企業に投資するキャピタリストだったんです。その時に沢山の起業家の方と出会って、「ゆくゆくは自分も」と思っていたみたいで。実際に起業する時は、「何がしたいのか、どういう理念なのか」という部分を、私も夫と一緒に随分考えました。頭で考えることは彼の方が得意だけれど、それを言葉や文章するのは私の方が得意なので、彼の想いを私が言葉にまとめるという二人三脚で形にしてきました。夫婦というのは目指す方向性がある程度似ているからこそ夫婦になるのだと思うけど、そうやってとことん話し合ったことによって彼の夢が2人の夢になっていったんだと思います。だから私は彼を応援していますし、同じ方向を向いて頑張っているところです。

濱田:お互いを補い合いながら、同じ方向を向いていらっしゃるなんて、私にとってはまさに理想の夫婦です!そして、お二人がどんな想いで起業されたのかとても気になります。

益子:私たちが今やろうとしているのは、教育とエンターテイメントを一体化させた事業なんです。「エデュテイメント」と呼ばれるものですが、子どもが集まって体験や遊びを通じて学ぶことが出来る場所を創りたいと思っています。実はピザ屋というのも、実際に人が集まって何かを発信する「場」を提供する目的ではじめたんですよ。ゆくゆくは子どもたちがもっと色々なことを体験出来るような幼稚園や牧場などの施設も作っていきたいと思います。

「子供が生まれて、大人としての新しい人生が始まった」

濱田:まさに夫婦二人三脚で夢を実現されていらっしゃいますね。

益子:そうですね。今は一社員として週6日間がっつり働いています(笑)。でも、初めはこんなに働くつもりはなかったんです。

濱田:それでも今、お仕事を頑張れる原動力は何ですか?

益子:やはり夫をサポートしたいという気持ちだと思います。あとは私自身、妊娠と出産を経験して「子ども」とか「教育」に対する想いが強くなったんです。だから「子どもに与えてあげたい環境を、自分たちで創りたい」という想いも、仕事の原動力になっています。

濱田:お子さんの存在が、お仕事のモチベーションにもなっていらっしゃるんですね。

益子:やっぱり子どもが好きなんでしょうね。これは実際にやってみて思うのだけど、子育てって本当に楽しいんですよ。子どもだけじゃなくて、親も一緒に成長できるから。だから私は子どもが生まれてから本当に変わったなと自分で思っています。

濱田:具体的にどんなところが変わったんですか?

益子:一番分かりやすいのは、守るものができたということですね。責任感が生まれたと言えばいいのかな。子どものことを考えなきゃいけなくなったことによって、「自分はどうあるべきか」と、自分の人生を今までよりも明確に考えられるようになったんです。そういう半強制的な責任感や制限があった方が人間って頑張れるんだと思いますね。

濱田:半強制的な制限…。

益子:そう。だから私、これまでは結婚して出産したら人生が終わる気がしていたの(笑)。だって子どもが生まれた後の人生って、なんだか決まっているような気がしません?でも全然そんなことないし、むしろ大人としての新しい人生が始まるんですよ。

「自分が楽しいと思える仕事を選ぶべきだし、そう思えるような仕事環境を自分で作る努力が重要」

濱田:益子さんのお話を伺って、仕事も結婚も子育ても、全て女性の人生とは切り離せない大切な問題なんだと改めて思いました。

益子:確かに出産は私の人生の中では大きな転機だったと思います。でもこんなに早く結婚して、しかも子どもを産むなんて予想外のことでした。ベンチャー企業で働いていて、本当に忙しい毎日を過ごしていたので、30過ぎまで結婚しないだろうと思っていたんですよ。それがトントン拍子で結婚が決まって、入社3年目の仕事もこれからって時に妊娠でしょ。はじめは「そんなのあり得ない」って感じでした(笑)。でも、そのタイミングで仕事から離れざるを得なくなって、結果的に生まれてはじめて「余裕」というものを感じられたんです。

濱田:「余裕」ですか?

益子:そう。毎日睡眠時間2、3時間の生活を抜け出して、色々なことを考えられるようになって、視野が広まったんでしょうね。これまで自分が捉われていた周りの視線や社会の常識なんて、本当にちっぽけな悩みでしかなかったんだな、みたいな(笑)。

濱田:それは海外に出てますます強く感じられたんじゃないですか?

益子:そうかもしれません。なんというか、海外にいると一個人として生きられる気がします。周りの目を気にしないで「私はこうしたい」と、自分主体で考えられるようになりました。だからどんなに忙しくても、日本にいるよりもベトナムにいる方が精神的に余裕があるというか、自由なんだと思います。だから日本の友人に会うと 「ベトナムに来てから楽しそうだね」 と言われるようになったのかもしれません。

濱田:益子さん、プライベートもお仕事も本当に楽しんでいらっしゃいますもんね。私もこれから社会人になりますが、「楽しい」と言いながら働いていきたいです。

益子:それって本当に大切なことだと思いますよ。私、会社員の時は本当に「仕事=生活」という働き方をしていたんですね。それは悪いことではないけれど、だとしたら「仕事が楽しくて仕方がない」と言える状態にしておかないと、人生そのものが楽しくなくなっちゃうじゃないですか。だから、私は自分が楽しいと思える仕事を選ぶべきだと思うし、そう思えるような仕事環境を自分で作る努力が重要なんだと思います。

濱田:最後になりますが、日本の若者に向けてメッセージをお願いします。

益子:社会人になるというのは、社会に組み込まれることだと思います。それはそれで毎日の生活にリズムができて、素晴らしいことだと思いますが、気付かないうちにそれに慣れきってしまう自分がいるんですよね。そうするとそこから抜け出せなくなってしまうから、例えば休みの日に普段とは全く違うことをしてみるとか、常に新しい可能性を意識出来るようになっていると良いと思います。社会人になる自分や10年、20年先の自分を想像するのは怖いことかもしれないけど、きっとこれからも楽しい人生が待ってるので、ワクワクしてこの先の人生を考えてみてください。



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