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大和亜基さん

濱田 真里
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広島県出身。marimo5代表。慶應義塾大学総合政策学部卒業後、日本テレビに入社し、報道カメラマン、広報などを経て退社。その後タイに移住し、タイのオーガニック野菜や米などを消費者とつなぐ活動marimo5を発足。2012年より拠点を日本とタイに置き、marimo5の事業化に向け活動中。フリーランスで広報やMCの仕事、またサプリメントアドバイザーとして健康に関するコンサルティングなども行っている。

「自分ですべて納得して辞めることができました」

濱田:今はタイでおいしい野菜を作る農家と消費者を繋ぐロハスな活動に取り組んでいらっしゃる大和さんですが、もともと日本ではそういうこととは無縁の生活をされていたとか?

大和:大学を卒業してから、ずっとテレビ局で働いていました。アナウンサーになるのが小さい頃からの夢で、テレビ業界を目指していたんです。でも、入社して配属されたのは男性ばかりの報道カメラマン(笑)。その時は本当に「ロハス」とか「健康」とはかけ離れた生活をしていましたね。その後広報部を経て、結局テレビ局では7年間働きました。

濱田:7年間も働かれていらっしゃったんですね。そんな大和さんがタイに行こうと思われたきっかけは何だったんでしょうか?

大和:きっかけは、夫の仕事でした。結婚して1年経つ頃に、タイに行くということになって。その話が出た次の日には、上司に「主人と一緒にタイに行きたいと考えている。」と言いに行ったんですよ。

濱田:随分即決だったんですね!

大和:私にとってもタイミングが良かったんだと思います。仕事の面では、大好きな広報の仕事で挑戦したいことを色々と実践することができたし、プライベートでは長年若者を海外に送り出す団体で活動していた影響で、「自分も海外に行くべきなんじゃないか」という思いが強くなっていた時期だったので。仕事とプライベートでの転機が重なったからこそ、決断できたんだと思います。

濱田:でもいくらタイミングが良かったとはいえ、大好きで7年間も続けられたお仕事に未練はなかったんですか?

大和:良く聞かれる質問なのですが、未練はありませんでしたね。自分がすべて納得した上で辞めているからだと思います。そうじゃなかったら、「夫の話に乗らなければ…」とか「仕事を辞めていなければ…」と、色々な愚痴を言っていたかもしれません(笑)。それと、退職した今でも会社の人と繋がっているというのは大きいです。私は本当に会社が好きで円満に退職することができたので、会社の人たちとは今でも帰国する度に会って話しができる関係なんです。そういう繋がりがあるからこそ、未練なく会社を辞められたのかもしれませんね。

「出会いもタイミングも、全部繋がっている」

濱田:タイでは国際協力や農家支援など、これまでのキャリアに囚われず幅広い分野で活動されていらっしゃるんですね。

大和:そうですね。でもここまで辿り着くのに、何をしたら良いのか分からなくて時間を持て余してしまったり、自分が本当にやりたいことは何なのか悩んだりした時期もありましたよ。

濱田:大和さんにもそういう経験があったんですね。その状況を抜け出すことが出来たきっかけは何だったんですか?

大和:それはやっぱり、人との出会いです。振り返れば、今の活動につながるアショカ財団でのボランティアも、友人が企画したスタディーツアーで事務所を訪問したのがきっかけでしたし、「marimo5」の活動を始めたのも、「本当にしたいことは何なの?」という友人の一言で自分のやりたいことを考え直したのがきっかけでした。「これからどうしていこう」と悩む度に、良い出会いに恵まれているなぁ、と実感するんです。

濱田:人との出会いや繋がりって大切ですよね。

大和:本当にそう思いますよ。私、人に会ったり、一緒に何かをしたり、お手伝いをしたりすることが好きなんです。だから、誰かにお願いされたり誘われたりしたら、可能な限りその場に足を運んだり、直接お会いするようにしているのですが、その一つひとつの出会いが次に繋がっている気がします。

濱田:そういう出会いとかタイミングとか、色んなことがそれぞれ繋がって、今の大和さんの人生があるんですね。

大和:そうですね。何か一つのきっかけというよりは、色んなことがリンクしているんだと思います。なんというか、全部繋がっているんですよね。そうしたご縁やタイミング、流れといったものを大事にする。これは本当に大事にしていることです。今取り組んでいる「marimo5」の活動に、テレビ局やアショカ財団での経験が役立っていることも沢山あって、無駄なことなんて一つもないんだなぁ、と実感します。

「自分でやってこそ、見えるものがある」

濱田:海外で生活して、「変わったな」と思うことはありますか?

大和:自分で言うのもなんですが、優しくなったと思います(笑)。日本とは違う考えに触れたり、日本では当たり前のことが海外では思うようにいかなかったりする中で、大抵のことは受け入れられるようになったというか、気にならなくなりましたね。それは年を重ねて、角が取れて丸くなったのもあると思いますけど(笑)。

濱田:「角が取れて丸くなった」ですか?

大和:はい。私、昔は「こういうことがやりたい!」という理想でいっぱいの、頭でっかちな若者だったんですよ(笑)。それが、入社して希望の部署に行けなかったり、カメラマンになったら今度は仕事にのめり込みすぎて体調を崩したり。そういう思い通りにいかない経験を沢山することで、理想で凝り固まっていた部分が崩されたというか。でも、そうやって色んな経験をして視野を広げることができて、今は良かったと思っています。

濱田:就職活動をしていると将来の自分を想像して、どうしても「頭でっかち」になってしまうんですよね。大和さんのように色々な人生の在り方があるのだと気づくことが大切なのかもしれないですね。

大和:私も学生時代はテレビ業界しか見ていなかったので、今思うと本当に視野が狭かったな、と思います。でも、だからと言ってあの時の自分に「もう少し視野を広げて色々見てみたら」とアドバイスするかというと、それはまた別の話。あの時はあの時で一生懸命でしたし。それに、そういうことって自分で気づくことが大切だと思うんですよね。自分でやって「違う」と思った時にこそ、見えるものがあるのだと思います。

濱田:最後に、日本の若者に向けてメッセージをお願いします。

大和:私は大好きだった仕事を辞めてタイに来ましたが、後悔はありません。それは、会社で自分のやれることは一生懸命やったという満足感と、仕事を辞めても会社の人たちとの繋がりがあるからです。そんな私もタイに来て何をしようか迷った時期もありましたが、その時その時で自分のエネルギーが自然と沸いてくることが見つかるものです。だから、皆さんも自分の前にチャンスや変化のきっかけが来た時は、新しい自分になるきっかけだと思って飛びついてみるのも良いと思います。私自身、これからどんな人生を歩むことになるのか分かりませんが、なでしこVoiceを通じてまた新たな出会いがあることを楽しみにしています。


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