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杉山弥央さん

濱田 真里
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30歳までに子どもが欲しい。でも、それまでに何かやり遂げたい

濱田:海外に興味を持たれたきっかけを教えて下さい。

杉山:3年生の時にアイスランドに8か月間留学したことがきっかけです。大学までずっと北海道にいたのですが、「英語が喋れたらものすごく世界が広がるな」と海外に興味を強く持つように。大学卒業後はもっと違う世界を見たい、いつか海外に出るために手に職を付けたいと思い、東京の金融系IT企業に就職しました。海外拠点もある大企業だったのですが、保守的な人が多く、半年後には物足りなさを感じるように。そんな時にネットを通じて出会った友人たちと国際交流団体を立ち上げ、そちらの活動に没頭しました。

濱田:どのような活動をされていたのでしょうか?

杉山:ジャパナイズというNPO団体で、日本に住む外国人や外国人旅行者を集めて、日本人と一緒に日本の伝統や文化交流をするツアー企画などを行っていました。ツアーの中で日本文化を知ってもらうだけではなく、参加メンバーとの交流によってお互いに新たな世界を広げてもらうことをやりがいにしていましたね。ここでの経験から、「誰かのためになることをするって、気持ちのよいことだな」と思い始めました。

濱田:日本では何年間働かれたのでしょうか。

杉山:3年間働き、その後2014年7月からシンガポールに移住しました。行動を後押ししたのは、25歳の時に自分の将来プランについて色々考え、「30歳までに子どもが欲しい。でも、それまでに何かやり遂げたい」と思ったこと。ずっと海外で働きたかったのですが、当時務めていた企業では、若いうちに海外に行ける確率は非常に低かったので、だったら自分で飛び込むことにしました。そして、現地採用で働ける会社を探してシンガポールに行ったのです。

シンガポールで働き始めて、自分の「市場価値」を考えるように

濱田:たくさんの選択肢がある中、シンガポールを選ばれた理由とは。

杉山:アジアのヘッドクウォーターと呼ばれるシンガポールであれば、優秀で多様な人材との人脈を得られると思ったからです。当時から、将来は東南アジアで最貧困層の人たちの視野を広げたり、選択肢の提供をするような仕事をしたいと思っていました。ジャパナイズの活動で、海外に興味がなかった人たちに外国人と触れ合う機会を与えることで、外に目を向ける人たちを増やせたことが原体験となり、こういった思いを抱くように。他の人の人生を少しでも良い方向に変えられたら、自分が生きている意味があったと言えると思うんです。そんな将来の活動のために人脈を作ろうと、シンガポールを選びました。

濱田:シンガポールでは現在IT企業に務められているのですよね。

杉山:そうです。今ちょうど1年4ヶ月目になります。私は日系企業で働いているのですが、日本文化を残しつつも、ローカルの人たちと英語でやり取りしたり、シンガポール文化を感じることができるこの環境はとても刺激的で楽しいです。日本で働いている時と大きく変わったのは、「自分の個人としての価値を強く意識するようになった」こと。日本だと終身雇用が一般的で、同じ会社にずっと所属する人が多いと思うのですが、シンガポールでは仕事を2、3年で辞める人がほとんど。ネガティブな理由ではなく、みんなキャリアアップで他の会社に移っていく様子を見て、初めは衝撃を受けましたね。個人として、自分は何ができるか?ということを日本よりも求められ、自分の「市場価値」を考えるようになりました。

何をするのか決まっていないけれど、逆にそれが楽しみ

濱田:今後もシンガポールに残られるのでしょうか?

杉山:実は2ヶ月後に会社を辞めて、バングラデシュに移住するんです。

濱田:え!それはなぜでしょうか。

杉山:実は、バングラデシュ人の彼氏がいるのですが、彼と一緒に現地で暮らすつもりです。彼は最貧困層に向けたビジネスであるBOPビジネスを起業していて、私の興味関心分野と非常に近しいことをしています。日本で出会ったのですが、私はシンガポール、彼はバングラデシュと離れて暮らしていて、最近「バングラデシュに遊びにおいでよ」と言われて軽い気持ちで行ってみたら、すごく面白かったんです。バングラデシュにはグラミン銀行を始めとするソーシャルビジネスを行う会社も多く、私の夢の実現に近づける場所だと思いました。

シンガポールに来てからの約1年間はとにかく刺激的で楽しくて、毎週のようにホームパーティーに行ったり遊びに行ったりしていたのですが、1年間やっていると段々飽きてくるんですよね。それで、もっと自分の将来に向けた活動をしようと決めて、興味のある分野を勉強したり海外ボランティアに行くように。そうしていると、このままシンガポールにいるのではなく、もっと夢に繋がる活動がしたいと考えるようになりました。そんな時に彼から「バングラデシュで一緒に暮らさないか」という提案をもらい、「あ、今しかない」と思ったんです。タイミングって大事ですよね。

濱田:今の杉山さんを見ていると、未来に対しての不安よりも楽しさの方が勝っている、そんな気持ちが伝わってきます。

杉山:バングラデシュに行ったら何をするのか決まっていないのですが、逆にそれが楽しみです! シンガポールに来た時は仕事が決まってから来たので、未来が定まってない状況はこちらに来て初めて。でも、やりたいことがあるので、ワクワクしていて楽しい未来しか考えられないですね。大変なこともあると思いますが、「きっと何とかなる」という気持ちで現地に飛び込もうと思います。


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