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岩渕敦子さん

1月 12th, 2012|件のコメント


結婚後、夫の仕事の関係で香港に93年から2004年までの11年間暮らし、仕事三昧の毎日を送る。日本に帰国して3年後、タイのチェンマイに移住し、2010年の6月、Green Days カフェ&ゲストハウスを設立。食べると元気が出る、心と身体に優しい食事をモットーにするカフェと、女性一人でも安心して泊まれるゲストハウスはチェンマイを訪れる人々の癒しの場となっている。

「失敗しても、そこでやっていくしか無いと思ったら底力が出てくる」

濱田:岩渕さんはなぜ日本から出たんですか?

岩渕:私は結婚がきっかけです 。夫が香港で起業していたので、11年間彼の会社を手伝いながら香港で生活していました。その後離婚を機に日本に帰国したんですけど、暖かい国に11年も住んでいたら体が熱帯雨林仕様になってしまい、日本に帰ったらもう寒くて寒くて 。雪が降る国に住むなんてとんでもないと思いました(笑)。
 日本ではタイマッサージを習っていたんですが、もっと本格的に学ぶために初めてチェンマイに来ました。そしたらすごく暖かいから真冬でもノースリーブでいいし、物価は安いし、人は優しいしで、「ここに住みたい!」と思って、滞在して2週間目にはどこに住もうかなってキョロキョロ家を探していました(笑)。1ヶ月後に日本に戻って、 要らない物はどんどん捨てて、持ち物を全部片付けて。すぐにこっちに引っ越してきたんです。

濱田:本当にあっという間ですね(笑)。ちなみに最初の香港ではどのような暮らしをされていたんですか?

岩渕:とにかく仕事三昧。香港は私にとって厳しい道場でしたね。私は日本にいた時は引っ込み思案だったんですけど、香港で鍛えられて強くなりました。スタッフも助けてくれないし、逆に「あなたの言っていることはさっぱりわからない」とか言われて、密かに布団の中で泣いたりして。でも泣いても誰も助けてくれないし、逃げる訳にもいかないからひたすら仕事をやりました。失敗を恐れないというか、恐れるも何も、先に進めなくちゃいけないから止まる訳にはいかないんです。失敗してもそこでやっていくしか無いと思ったら底力が出てきますよね。だから英語も必死に現場で周りのスタッフに教えてもらって。やっぱり追いつめられないとね、人間本当の力が出てこないから。常に助けてくれる人がいるのは有り難いことだけど、当時を振り返って、時には頼るものが無い環境に自分を追い込む事も大切なんだなと思いますね。 当時私を甘やかさず厳しく接してくれた元夫にも今では感謝しています。

「カルチャーショックを受けると、 自分の中にある刷り込みに気付くはず」


濱田:長く海外で暮らしていらっしゃる岩渕さんから見て、日本はどんな風に見えるんでしょうか?

岩渕:やっぱり日本は基本的な教育がしっかりしていると思います。香港で初めて鳥インフルエンザが発症した時も、TVで日本ではどういう風に衛生管理をしているのかっていうのを盛んに放送していたんですよ。やっぱり何かあったら日本を見習えっていう考えがあるんですよね。3月11日の地震もそうです。皆がパニックにならずに並んで支援物資を受け取るなんて、信じられないことなんですよね。そういう教育を受けた日本人だからこそ、私は自信を持って世界に出ていけるんだと思う。日本人が世界に出て教えられることってたくさんありますよ。自分では気づいていないかもしれないけど、そういう衛生観念や物の片付け方とか、それだけでもやっていけるなって思いますね。

濱田:自分が日本人として持っている当たり前の感覚が、他の国では珍しかったりしますよね。

岩渕:そうですね、そもそも日本と違うことに遭遇してわっと驚く背景には、「こういうはずだ」っていう思い込みがあるからなんですよね。だからもっと色んなことを体験してカルチャーショックをどんどん受けていくと、自分が受けた教育とか、自分の中にある刷り込みとかに気づくと思うんです。だって、たまたま日本に生まれて日本で育てられたから、日本の常識で生きているけれど、もし赤ん坊の時にタイに連れて来られてタイで育てられていたら、全く違う人になっていたわけじゃないですか。今の自分がいるのは今までの教育の賜物ですからね。そういった色んな人との刷り込みの違いを新鮮な気持ちで楽しめるなら、どこの国に行っても住めるかなと思いますね。

「成り行きに任せてみることも大切」


濱田:岩渕さんはチェンマイに来られてなぜカフェとゲストハウスを運営されようと思ったんですか?

岩渕:実はチェンマイに来た時はそんなに働くつもりは無かったんですね。でも知り合いがレストランをやると言うのでお手伝いをしていたら、どんどん料理をするのが楽しくなっちゃって。だから自分でお店やってみようかなと思って、成り行きで去年の6月3日にカフェをはじめました。

濱田:成り行きだったんですね(笑)。

岩渕:はい、ゲストハウスも成り行きです(笑)。私はここの1階と3階を借りているんですけど、1階はカフェにして、じゃあ3階のスペースをどうしようかなと思った時に、ふとゲストハウスでもやってみようかなと思ったんですね。でも何も考えないではじめたものだから、ゲストハウスってチェックインとかがあるから、日曜日も休みじゃないってことを忘れてた(笑)。だから休みを取れたのは今年まだ3回くらいじゃないかなぁ。でもうちはタイマッサージ関係者を初め、ユニークな人が集まる特別な場所になって来ており、ここにいるだけで日々新しい出会いがあるのがとても楽しいですね。

濱田:最後に日本にいる方々にメッセージをお願いします。

岩渕:理想とかたくさんありすぎると、逆にそれにつぶされちゃうこともあるんじゃないかなって思うんです。「こうじゃなくちゃいけない」とか、「こうしないといけない」っていうのがあると、実際にそうならなかった時のストレスが大きいでしょう?だから先にあれこれ考えず成り行きにまかせて、もうちょっと気を楽に生きていってもいいんじゃないかなと思いますよ。目の前に現れたチャンスを、それ楽しそう!でまずはやってみる。最初は大変な思いをするかもしれないけど、数ヶ月、数年後に一回り成長した自分に気がついて、あの時やって良かったなぁと思えますよ。